【心理学で子どもを理解する】心の防衛機制から子どもの行動理由を考えよう!

ke-sensei
キーワード

子育て 不適応行動 癇癪 心理

  • やめてって言ったことをやってくるのはどうして?
  • 子どもの心が理解できなくてお互い苦しい
  • 癇癪とか幼児退行とかとにかく面倒くさい!

宿題を後回しにしたり、兄弟に意地悪をしたり、急に甘えてきたり…
子どものこうした行動に、『なぜこんなことをするの?』と困惑したことはありませんか?

実は、子どもは自分の心を守るために無意識で防衛機制を使っています。
行動だけを見るとわかりにくいですが、その裏には『怖い』『不安』『我慢している』といった気持ちが隠れています。

家庭での関わり方を少し工夫するだけで、子どもは安心して自分の気持ちを出せるようになります。

この記事は次のような人にオススメ!

  • 子どもと上手く付き合えてない気がする人。
  • 子どもの悩みを支えてあげたいと感じている人。
  • 心理学に興味がある人。

「防衛機制」という言葉はあまり聞き馴染みがないと思います。

今回は、より日常生活場面で起こる具体的な例も多く取り入れていきます!

実際にお子さんのことをイメージしながら読んでみてください。

AIとの差別化のために、主観・経験も含まれています。

この記事を書いた人
Ke先生
Ke先生
けーせんせい
Profile
「子どもと、その子に関わるすべての人が幸せでありますように。」
地域で子どもの発達を支えてきた作業療法士。
『楽しい』ことが好き。
だから支援でも第一優先は子どもが楽しいと感じること!
プロフィールを読む

『防衛機制』とは?

人は精神的に強いストレスを感じた時、心を守るために様々な反応や行動をとります。

その反応や行動を「防衛機制」(ぼうえいきせい)と呼びます。

防衛機制の例
  • 恥ずかしい思いをしたときに「気にしてない」と言う
  • 本当は悲しいのに、怒ったように見える
  • 苦手なことを避けて、得意なことで自信を取り戻そうとする

子どもも大人と同じように、防衛機制を使っています。

ただし、子どもはまだ言葉や感情の整理がうまくできないため、
強い行動として現れやすいのが特徴です。

防衛機制そのものは悪いことではありません。
むしろ、「それだけ心が頑張っているサイン」です。

親がその背景を理解し、安心できる関わりをすることで、
「めんどうだな」「イライラする」「理解できない」といった行動がなくなっていくかもしれません。

解説と関わり方

ここからはいくつかの主要な防衛機制を、関わり方と一緒に解説してきます。

退行

退行

年齢より幼い行動をすることで、
安心を求める反応。

  • 赤ちゃんのように抱っこをせがむ
  • 言葉遣いが急に幼くなる
  • 夜泣きやおねしょが再び出る

今まで出来ていたことが急に出来なくなる事がポイントです。
特に母からの疎外感や離脱を感じていると起こりやすい傾向にあります。

関わりのポイント!
  • 無理に叱らず、安心感を与える
  • 「大丈夫だよ」と受け止め、少しずつ自立を促す

親の愛情の受け取り方は子によって様々!

無理にやらせようとせず、今まで通り変わらない愛情をもっていることを表現してあげましょう。

逃避

逃避

嫌なことや不安なことから
意識をそらす反応。

  • 宿題や片付けを後回しにする
  • 嫌な話題になるとテレビやゲームに夢中になる
  • 「遊びたい!」と言って現実の問題を避ける

自分の苦手なことに対して自分を責める気持ちがあったりもします。
周囲が気にする以上に、本人が一番気にしているかもしれません。

関わりのポイント!
  • 怒らず、焦らず少しずつ苦手に取り組む習慣を作る
  • 苦手に取り組む時には遊びや休憩を組み込み、心理的安全を確保

みんなと同じである必要はない!

無理に苦手に真正面から向き合わず、本人なりにできる方法を模索するのがいちばんの手段です。

転移

転移

本当の感情をぶつける先を
全く他の人に向けて表す反応。

  • 先生へのイライラから、家で兄弟に意地悪をする
  • 不安な気持ちをペットにぶつける
  • 先生に対し愛情を抱く

攻撃的表出か、逆に依存といった激しい反応や行動に至る傾向にあります。

関わりのポイント!
  • 感情そのものは受け止める
  • 「怒っている気持ちはわかるよ」と共感しつつ、行動は安全に導く
  • 本当の対象を探る

原因がどこにあるのか探ってみましょう。

経験から「学校でのストレス」を家庭で発散していることが多いです。

反動形成

反動形成

本来の気持ちとは、
逆の行動をとること。

  • 本当はやりたくないのに
    「やりたい!」と強く主張する
  • 怖いのに「怖くない!」と強がる
  • 嫌な相手に過剰に優しくする

ポイントは、気持ちは逆になっていないということ。
嫌だとわかっていてもあえて行動してしまう傾向にあります。

関わりのポイント!
  • 表面的な行動に惑わされず、気持ちを読み取る
  • 「そう思うくらい怖かったんだね」と言葉にして安心させる

気持ちと行動の乖離に気づきましょう。

目で見たことが全てではないと知っていることだけでも、お子さんへの対応は変わるはずです。

逆転

逆転

本来の気持ちとは、
逆の気持ちになること。

  • 好きだった友達を急に嫌いになる。
  • 親に対して憎い気持ちを表出する。
  • 親だけを本気で叩く。

ポイントは、『反動形成』と違って、気持ちそのものが逆転することです。
恋人に振られると急に憎しみに変わるドラマとかは「逆転」が起こってます。

関わりのポイント!
  • 変わらぬ愛情を表現して伝える。
  • 本来の気持ちが満たされるよう関わる。
  • 本人の気持ちを言語化してあげる。

本人は気持ちが逆転してますから、関わりは難しいです。

もしかすると、自分も子供に対して逆転の防衛機制が働いていないか内観するのも大事です。

保証

保証

できないこととは全く別のことに
のめり込んだり、頑張りすぎる。

  • 勉強が苦手でも絵や運動で自信を持つ
  • 苦手なことをやらずに、
    得意なことばかりに熱中する
  • 遅れを感じると、
    遊びや創作活動で取り戻そうとする

ぱっと見は頑張ってて偉い子ですが、ボロが出やすい傾向にあります。
自己実現が目標ではなく、マイナスな感情が根底にあることを理解しましょう。

関わりのポイント!
  • 得意なことは十分認めてあげる。
  • 苦手なことは自分で頑張る気持ちがでるよう段階的にサポート

すぐに苦手に向き合わず少しずつ向き合う機会を作ります。

得なことは十分認めてあげて、得意を伸ばすことも忘れずに!

転換

転換

精神的なストレスが、
身体症状として出てくる。

  • 学校に行く前に頭痛や腹痛を訴える
  • 苦手な課題中に手が痛いと言う
  • 緊張や不安で眠れなくなる

一見すると、身体的な病気や体の不調にしか見えないのがポイントです。

しかし体を調べても異常はでず、病気が原因ではありません。

関わりのポイント!
  • 「仮病」と思わず、体のサインとして受け止める
  • 安心できる環境を作り、少しずつ課題に慣れさせる
  • とにかく需要。

仮病なんだから。と接すると悪化します。

心のストレスがたまたま身体症状として出るタイプの子であっただけです。
そこも含め認めてあげてストレスの原因解消を目指します。

抑圧

抑圧

嫌なことや強いストレスの記憶を消す。
感情に抑制をかける。

  • 嫌な出来事を「覚えていない」と言う
  • 失敗したことを話題に出すと黙る
  • 感情を表に出さず、無表情になる

本人には本当に記憶がありません。
言及しても「覚えていない」のは事実ですので、言及することは無意味になります。

関わりのポイント!
  • 無理に思い出させず、安心して過ごせる環境を整える
  • 信頼関係ができてくると、自然と気持ちを話せるようになる

抑圧がかかるほどのストレスがかかっている事実を受け止めましょう。

無理に本人に出来事と向き合わせず、安心・安全を保証する環境を作るのが一番重要です。

まとめ

今回は防衛機制について、家庭での関わり方のポイントと一緒に解説してきました。

心の防衛規制
  • 退行:幼い行動をする。
  • 逃避:嫌なことを回避する。
  • 転移:別の人に気持ちをぶつける。
  • 反動形成:気持ちと逆の行動をする。
  • 逆転:気持ち自体が逆転する。
  • 保証:別のことで補う。
  • 転換:体の症状としてあらわれる。
  • 抑圧:記憶を消したり、感情にストップをかける。

防衛機制は、子どもが心を守るために無意識で使う自然な反応です。
家庭では、「行動の裏にある気持ちを理解すること」「安心感を与えること」が大切です。

こうした関わりを積み重ねることで、子どもは少しずつ心の安定と自己表現を取り戻していきます。

一見不適応で面倒だと感じる行動も、
もしかするとお子さんのSOSかも。

リクエストやお悩み相談コチラから

    ABOUT ME
    Ke先生
    Ke先生
    けーせんせい
    「子どもと、その子に関わるすべての人が幸せでありますように。」
    地域で子どもの発達を支えてきた作業療法士。
    『楽しい』ことが好き。
    だから支援でも第一優先は子どもが楽しいと感じること!
    記事URLをコピーしました