【ASD】知らなきゃ仕事にならない!『自閉症スペクトラム障害』

ASD 自閉症スペクトラム障害
- ASDの子が多いけど、そもそもASDって何?
- ASDの名前は知ってるけどいまいちイメージできない
- ASDの子に対する支援って何をしたらいいの?

療育の世界に入って初めてASDなんて言葉聞いたよ…。知ってて当然な雰囲気に合わせてきちゃったけど実はよく知らない…。
療育の世界に入って初めて発達障害について真剣に向き合う機会がうまれ、戸惑っている方も多いでしょう。
この記事では、発達障害の中でも「ASD」(自閉症スペクトラム障害)について解説していきます。
初めて発達障害に関わる方でもわかりやすいよう、できるだけ例を多く用いますので、担当のお子さんをイメージしながら読み進めてみてください!
ASDって?
「ASD」(自閉症スペクトラム障害)という言葉は割と最近できた言葉です。
これまで「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」と呼ばれていたものが集積されてついた名前です。
以下のA、B、C、Dを満たしていること。
A:社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害
①社会的・情緒的な相互関係の障害。
②他者との交流に用いられる非言語的コミュニケーションの障害。
③年齢相応の対人関係性の発達や維持の障害。
B:限定された反復する様式の行動、興味、活動
①常同的で反復的な運動動作や物体の使用、あるいは話し方。
②同一性へのこだわり、日常動作への融通の効かない執着、言語・非言語上の儀式的な行動パターン。
③集中度・焦点づけが異常に強くて限定的であり、固定された興味がある。
④感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性、あるいは感覚に関する環境に対する普通以上の関心。
C:症状は発達早期の段階で必ず出現するが後になって明らかになるものもある。
D:症状は社会や職業その他の重要な機能に重大な障害を引き起こしている。

こんなの見てもよくわからないよ…
大丈夫!ASDの重要なポイントは、
「社会的なコミュニケーションの問題」
極端な話、ASD的特性を持っていたとしても、周囲とうまくやっていけているのならASDという診断にはなりません。
その人の言葉や行動により周囲の人・環境の中で生活していくのが難しい場合、にASDとなるわけです。
ASDの特徴

ASDには行動や言葉の使い方に特徴があるとされています。
ここからは、療育場面での例を交えながら解説していきます。
- 逆手(さかて)バイバイ
- サリーとアンの課題(誤信念課題)
- イレギュラーに対する不安感
- 自由がつらい
- クレーン現象
ASDのお子さんは昔、想像力の障害とも呼ばれていました。
自分の見えている世界が中心であり、相手の立場から見た世界をイメージすることが苦手です。
逆手バイバイはとても有名です。お子さんにバイバイと手を振ると、手の甲を見せてバイバイを返します。
これは、お子さんから見たら「バイバイ」は手のひらが自分に向いている状態の動作であるため、当然自分もバイバイをするときには手のひらが自分に向くものだと思ってバイバイをします。
療育では「予定表」をよく使います。予定表は先の見通しがわからない状態に不安感を感じやすい傾向にあるASDのお子さんに配慮するために用いていることが多いです。
予定表通りに進んでいかないことに不安や怒りを表出するお子さんもいます。
お子さんとの会話の中で、先生が全く知らない話題が、さも先生も知っている前提で展開されていきます。
自分が知っていることは相手も知っていると信じている+言葉足らずの面も相まっての行動と言えます。
「休み時間何をしたらいいかわからない」「図工で何を作ればいいのか分からない」というお話が多く聞かれます。
自由に何かをするというよりも決まったものを正しく行うことを好む傾向にあります。
- 特定のものに強い執着をみせる
- 些細な違いに気づいて説明を求める
ここで言う「注意」とは、先生が子供に対して行う注意ではありません。
何かに集中し続けたり、集中の対象を切り替えたりする力のことを指します。
ASDのお子さんは特定の物に対して極めて限局した注意を示すことが多いです。
例えば、トーマスが好きなお子さんは、トーマスに登場するキャラクターの些細な違いについて興味を示すことがあります。

- お気に入りの歌を何度も繰り返し口ずさむ
- 先生や保護者に行ってほしい言葉を何度も要求する
- ずっと同じところを走ったり跳んだりしている
ASDのお子さんは特定の言葉や歌、行動を繰り返す傾向にあります。
また、保護者や先生に対し、特定の言葉を繰り返すよう求めることも多いです。
常にお気に入りの歌を口ずさんでいて、先生が一緒に歌うことに怒りを見せることもあります。
周囲の人に興味を持ち始めると一緒に歌ったり、歌うことを求めてくれるようになります。
長時間トランポリンの上で跳び続けたり、特定の感覚刺激を求めるような行動を繰り返すこともあります。

お子さんが好きな感覚を知っておくと支援に有効活用できますよ
まとめ
ASDのお子さんの特徴を知っておくことで、お子さんの見えている世界を理解する材料になります。
- 相手の立場から見た世界が想像しにくい
- 限局した注意
- 反復した言動・行動
お子さんによっては、これらの特徴が見えにくい場合があります。(グレーと呼ばれる)
その子が見ている世界を理解し、適切な支援提供を行うためにこれらの特徴は頭に入れておきましょう。