【5歳の発達理解】 体・認知・社会性の発達をまるっと理解しよう
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- 5歳の子って何ができるようになるの?
- 年中さん、年長さんの子にどんな療育をしたらいい?
- とりあえず発達の順番を知りたい。
療育施設でお子さんへの支援を提供するうえで、「子どもの発達段階」を理解しておくことはとても重要です。
発達の流れを知ることで、今どの段階にいるのか、そしてこれからどんな力を獲得していくのかを把握し、適切な支援や活動内容を考えることができます。
この記事では「5歳の子ども」が1年間でどのように成長していくのかを、体・認知・社会性の3つの側面から解説します。
療育や保育の現場で関わるお子さんを思い浮かべながら読んでみてください。
この記事を書いた人
地域で子どもの発達を支えてきた作業療法士。
『楽しい』ことが好き。
だから支援でも第一優先は子どもが楽しいと感じること!
5歳 発達の全体像

5歳になると、日常生活の多くの動作が自立し、生活全般に安定感が出てきます。食事・排泄・着替えなどを一通り自分で行えるようになり、社会生活に必要な基本的スキルが整い始めます。
また、認知機能のさらなる向上が見られ、ひらがなや数字への興味・学習の定着も進む時期です。記憶力や理解力の発達により、単なる模倣ではなく、理由を理解しながら学ぶ姿が見られます。

この時期に学習を「楽しい」と感じられるととっても良いです!
さらに、相手の気持ちを理解する「他者理解」が伸び、自分から友達に声をかけて集団を作ったり、仲間関係を維持しようとする姿も現れます。
この段階では、大人が介入しなくても子ども同士でルールを作り、守りながら遊ぶことができるようになってきます。まさに、社会性の基礎が形になり始める時期です。
【5歳】体の発達

5歳の身体発達では、全身のバランスと協調動作が大きく向上します。スキップや縄跳びなど、四肢を複雑に連動させる運動ができるようになり、閉眼片足立ちも安定して行えます
自転車の練習を始める子も多く、ボールを繰り返しついたり、キャッチボールを楽しむ姿も見られます。
微細運動の発達も著しく、筆記用具を安定した手関節背屈位(手首を手の甲側に倒す姿勢)で保持し、親指・人差し指・中指の3本を使った動的三指握りで書くことが可能になります。
筆圧や力の調整も進み、紙コップを潰さずに持ったりと、対象物に対して自分の力をコントロールできるようになります。

コミュニケーションのつもりで他児を叩いちゃうなんてことがほぼなくなります。
6歳に近づくころには、ひらがななど簡単な文字の書き取りが始まる子も見られます。
| 粗大運動 | スキップ・縄跳び可能。閉眼での片足立ち可能。 |
| 粗大運動遊び | 自転車。ボールをつく。キャッチボール。 |
| 微細運動 | 動的三指握りで書く。力の調整能力向上。 |
【5歳】認知の発達

認知面の発達では、空間認識能力が一段と進みます。斜めの理解がすすむことで、三角形の模写ができるようになります。
また、自分の体の左右を理解できるようになります。6歳になる頃には、相手の左右も把握できるようになり、視点を切り替える力が育っていきます。
時間の概念も形成され、「昨日」「今日」「明日」といった過去・現在・未来の区別ができるようになります。空間的にも「左・真ん中・右」といった位置関係を理解し、三次元的な世界観を持ち始めます。

一緒にカレンダーを使って曜日の確認や、過去の出来事をお話しする練習もしたいですね!
また、経験した出来事を絵に表したり、想像した物語を語るなど、内的世界を言語や絵で表現する力が伸びるのもこの時期の特徴です。
言葉の発達に関しては、しりとりやなぞなぞといった言葉遊びを楽しむ姿も見られます。
| 形の理解 | 三角形の模写が可能。 |
| 空間の理解 | 自分の体の左右理解→相手の左右理解。左・真ん中・右がわかる。 |
| 時間的理解 | 昨日・今日・明日がわかる。 |
| 言葉 | 経験・空想を話す。しりとりなどの言葉遊びを楽しむ。 |
【5歳】社会性の発達

- じゃんけんの勝敗理解
- 行動前に計画をたてて話す。
- 集団でルールを守って遊ぶことを好む→仲間意識の形成。
- 小さい子の世話をする。
- 交通ルールを守る。
社会性の面では、他者との関係性がより明確になり、集団活動の中で自分の役割を意識できるようになります。
じゃんけんの勝敗を理解し、勝ち負けを受け入れたり、競争心を持って遊びに取り組むようになります。また、行動する前に計画を立て、見通しをもって取り組む姿勢も育ちます。
自己意識がはっきりすることで、他者の意識や感情にも敏感になり、同じ場面を共有しながら「仲間」として関わる経験を重ねます。それに伴い、ルールのあるスポーツなどを楽しむようになり、他児と場面を共有することにより「仲間意識」が形成されていきます。
また、交通ルールを守ったり、小さな子の世話をしようとするなど、社会的ルールや思いやりの行動も見られるようになります。これらの行動は、就学後の集団生活に欠かせない社会性の土台となります。
まとめ
5歳は、身体のバランスや巧緻性が整い、認知の発達によって理解力・思考力も深まります。社会的にも仲間と協調する力が伸び、集団活動の中で自分の立ち位置を意識できるようになります。
一方で、保護者にとっては「もうすぐ小学校」というプレッシャーや不安を感じやすい時期でもあります。療育や発達支援の現場では、保護者の焦りを受け止めつつ、子どもの現状に合った到達目標を一緒に設定し、段階的に支援していくことが大切です。

焦らずできることを1つずつ増やしていくことが大事ですよ
「できていること」を丁寧に共有し、保護者が安心できる関わりを心がけることで、子どもの自信と意欲を育てる支援が可能になります。



















